怪獣を作れ、初めての仕事にさすがの小野も驚いた。
しかも、この時の小野は、別の仕事のため、
丸2日間ほとんど寝ていなかった。
「いくらなんでも、勘弁してください。」
小野、一度は断った。
「善ちゃん、そう言わずにやってくれよ。」
的場、無理矢理、怪獣製作用の材料一式を小野に押しつけた。
小野、途方に暮れた。
翌日
、セットの真ん中に
小野
が徹夜をして作成した怪獣が鎮座していた。
皆、
小野
のがんばりに賞賛の声を送った。
ところが、
全く稼働する部分が無かった。
「で、
善
ちゃん
これはどういうふうに動くんだ?
」
的場
、
小野
に問いただした。
「
それは
的場
さんが考えてくださいよ。
ボクは言われた材料で作っただけなんだから。徹夜したんでちょっと寝かしてくださいよ。」
小野
、負けていなかった。
的場
と
うしお
、仕方なく
スペクトルマン
の方を動かすことで、絵コンテを作成した。
的場
、完成した絵コンテを見つめながら言った。
「こんな感じでいきましょう。それじゃ私は上で
スペクトルマン
動かしますんで
、
小野
ちゃんは下のヘドロン動かして。
」
小野
、
そのまま徹夜で撮影作業に入った
。
ついに、第1話のフィルムが完成した。
早速、ピープロ
社内でスタッフ全員を集めた試写会が行われた。
ところが、映写が始まると、徹夜の連続で疲れ切った彼らは、
全員が立ったまま眠ってしまった。
巷では、激動の昭和45年が暮れようとしていた。
|