皆の活躍で、短い日数ながらも製作は順調に進行した。

しかし、残された問題があった。
第一話登場の
怪獣ヘドロン が、
撮影前日までできていなかった。

へドロンの撮影が一日でも遅れれば番組に穴があく状態だった。

美術担当
小野善次郎
へドロンの製作を依頼された。



小野
、元々ミニュチュア製作が仕事だった。

しかし、撮影現場ではミニュチュアの操演から、大小道具の製作調達まで、
ありとあらゆる仕事をこなしていた。

当時の状況を知る
鷺巣誌郎 さん( うしおそうじ さんご子息):
「あまりにも忙しく動きまわるものですから、当時、
彼が一番えらい人だと思ってました。

怪獣を作れ、初めての仕事にさすがの小野も驚いた。

しかも、この時の小野は、別の仕事のため、
丸2日間ほとんど寝ていなかった。


「いくらなんでも、勘弁してください。」
小野、一度は断った。

ちゃん、そう言わずにやってくれよ。」
的場、無理矢理、怪獣製作用の材料一式を小野に押しつけた。

小野途方に暮れた。



翌日 、セットの真ん中に 小野 徹夜をして作成した怪獣が鎮座していた。



皆、
小野 のがんばりに賞賛の声を送った。

ところが、
全く稼働する部分が無かった。

「で、
ちゃん これはどういうふうに動くんだ?
的場 小野 に問いただした。

それは 的場 さんが考えてくださいよ。 ボクは言われた材料で作っただけなんだから。徹夜したんでちょっと寝かしてくださいよ。
小野 、負けていなかった。

的場 うしお 、仕方なく スペクトルマン の方を動かすことで、絵コンテを作成した

的場 、完成した絵コンテを見つめながら言った。
「こんな感じでいきましょう。それじゃ私は上で
スペクトルマン 動かしますんで 小野 ちゃんは下のヘドロン動かして。

小野 そのまま徹夜で撮影作業に入った



ついに、第1話フィルムが完成した

早速、
ピープロ 社内でスタッフ全員を集めた試写会が行われた。
ところが、映写が始まると、徹夜の連続で疲れ切った彼らは


全員が立ったまま眠ってしまった。



巷では、激動の昭和45が暮れようとしていた。



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