パイロット版
が
好評
を博した
「
宇宙猿人ゴリ
」
だったが、 11月になっても放送開始の決定はなされなかった。
武田
からの連絡も、
パイロット版
の試写会以来途絶えたままだった。
「この企画もポシャッたかなあ。」
ピープロ
社内にそんな雰囲気が流れ始めた。
うしお
、それで諦める男では無かった。
これが最後だと思い、
うしお
は
武田
に噛みついた。
「
『
宇宙猿人ゴリ
』
はどうなったんです? ダメなら、そう言ってください。
別な企画書でもパイロットフィルムでも持ってきますよ。」
武田
、歯ぎしりしながら答えた。
「局の会議って難癖つけるヤツが多くて大変なんですよ。そんなに言うなら、
局の会議に出てください
。
」
その2日後、
うしお
、本当に会議に
出席していた
。
奮い立った
。
うしお
、局のお偉方の面前で
熱弁
を振るった。
特撮への想いと、今後来るであろう第2次怪獣ブームについて、力の限り語った。
自然と、
目頭が熱くなった
。
会議の出席者達、皆、戦前からその腕一本で日本の映像社会を生き抜いてきた男の言葉に、心を動かされた。
説得は成功した。
フジテレビは
「
宇宙猿人ゴリ
」
の企画を進めることを了承した。
それでも、具体的な放送開始日の話までは決まらなかった。
「放送開始日が決まらなければ、何も決まらないも同じだ。」
武田
と別れると、
うしお
は複雑な思いで天を仰いだ。
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