そのころ、 うしおそうじ は苦境にたっていた
彼の起こした番組製作会社 ピープロ は、
製作番組の減少や度重なる労働争議により経営が悪化していた。
さらに、追い打ちをかけるような事件が起こった。
火災 である。
社屋に忍び込んだ子供達が、誤って引き起こした 火災 により、
ピープロ 社屋は全焼。
密かに進めていた特撮作品「 豹マン 」の企画も、自然消滅してしまった。
うしおは、泣く泣くスタッフを一時解雇して、その場を凌いだ。
その中には、後に ピープロ 看板監督の一人となる 石黒光一 もいた。
石黒光一 さん:
「製作作品がないと、スタッフを放出するやり方は、今では珍しくありませんが、当時はあまり無かったと思います。いや、たいへんでしたよ。」
「いつかまた、特撮の時代がやってくる。」
うしお 、自分にそう言い聞かせ、会社の存続を図った。
そんな ピープロ の現状を 武田 は耳にしていた。
「 うしお さんには、 『 鉄腕アトム 』 や 『 マグマ大使 』 での借りがある。」
武田 、なんとか 助けてやりたかった 。
そこで 武田 は、自分の裁量でうしおに新作特撮番組のパイロット版製作を依頼した。
「 うしお さん、(30分番組)一本分(の制作費を)だすから、 起死回生 でやってくれ。」
「わかりました。」
うしお 、 武田 の気遣いに自然と 涙 が溢れた。
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